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雖然神祕過了頭,不過看完後也越來越期待13交代伊莉莎白與Ash的這部分了。
以下正文開始吧: 

 


伊莉莎白隊
 

とした草原に、さざなみが立つ。
 古き伝統と使命を現代にまで伝えてきた一族の住まいは、今では南仏の自然の中に溶け込み、もはや往時の面影はほとんどない。かろうじて残っている水の嗄れた噴水と焼け焦げた柱石だけが、かつてここで繰り広げられていた絢爛豪華な日を物語っていた。
 上半身を失った女神像を見上げていたエリザベートは、目を細めて青空を振り仰いだ。
 広大な屋敷と、そこに住む一族のすべてを灰燼に帰した大火から、何年がたったのだろうか──

青翠的草原上、泛起一陣陣的波漣。

這個背負著古老傳統與使命至今的古老一族,其居所如今已融入南法的自然之中、不見昔日風采。僅僅只殘存嗄然作響的噴泉及焦黑的柱石,訴說著過往曾有過的輝煌時期。
 正看著失去上半身的女神像的伊莉莎白,瞇起眼睛抬頭仰望蒼空。
 居住此地的一族,其廣大的房地被祝融所吞噬,已經過幾年了呢──

 

 今にして思えば、あの大火自体が、何らかの予兆、あるいは何者かの策謀だったのかもしれない。
 いずれにしろ、あの日を境に、重い使命を受け継ぐ者はただふたりだけになってしまった。
 あの日からふたりは、本当に姉と弟のように暮らしてきた。
 だが、今はその片割れもここにはいない。
…………
 在りし日にこの庭で撮影された数枚の写真を手に、黒衣に身を包んだエリザベートは、何時間もその場に立ち尽くしていた。
……お嬢様」
「判っています。……もう少しだけ」
 背後からかけられた老人の声に、エリザベートは小さくかぶりを振った。
 また吹き寄せてきた風が、エリザベートの顔を隠す黒いベールを揺らした。

如今回想起來,那場大火本身,或許正是什麼事情的預兆,又或者是何人的陰謀也說不定。
 總之,以那一天為界,繼承了沈重使命的就只剩兩個人了。
 從那時以來,兩個人就如同親生姐弟般生活著。
 然而,現在這一切都已點滴不存了。
…………
 手上拿著往昔在這個庭院所拍的幾張相片,身被黑衣包裹的伊莉莎白、在此佇立良久。
……小姐。」
「我知道的。……再一下子就好。」
 背後傳來老人的呼喚聲,伊莉沙白輕輕地點了點頭。
 一陣微風襲來,頭上的黑色面紗飄動著,遮住了伊莉莎白的臉龐。

 

◆◇◆◇◆ 

 

 パンツのポケットに手を突っ込んだまま、シェンはテーブルの上のデミタスカップを見つめている。小刻みに揺れている膝頭が、上海から来たこの男の苛立ちを表しているようだった。
 カップに半分ほど残ったエスプレッソを一気に飲み干し、シェンは眉間のシワを深くした。
 あと3秒ももつまい──デュオロンがそう予想してからきっかり3秒後、シェンはかためた拳を振り上げ、テーブルに叩きつけようとした。
「よせ」
 テーブルがまっぷたつになる寸前、ひょいと伸ばされたデュオロンの手がシェンの拳を受け止める。シェンはぎろりとデュオロンを睨みつけたが、結局は何もいわず、舌打ちしてチームメイトの手を振りほどいただけだった。

將手插進褲子的口袋中,神武盯著桌上的咖啡杯。從時不時晃動的膝蓋,可以看出這位上海男兒心中的焦躁不安。
 將杯中還剩半杯的濃咖啡一飲而盡、神武眉頭皺得更深了。

再過三秒就要爆發了──墮瓏心中如此猜想著,這之後恰好三秒,神武果然掄起拳頭、作勢就要捶向桌面。
「住手。」
 眼見桌子將要被一分為二之際,神武的拳頭被墮瓏伸過來的手輕巧地接下了。神武眼神直勾勾地瞪著墮瓏,終究沒有多說什麼,只癟癟嘴,甩開了隊友的手。

 

芸術家と観光客でにぎわうモンマルトルは、初夏の夕映えにいろどられてまばゆく輝いている。ここではプロムナードに伸びた男たちの影さえも、どこか芸術的に見えた。
 いろいろと後ろ暗いところのあるデュオロンには、自分があまりに場違いなところにいる気がして、苦笑がもれるのを禁じえなかった。
 その小さな笑い声を聞きつけたのか、ふたたびシェンのまなざしがデュオロンを射た。

充斥著藝術家和觀光客的蒙馬特,在初夏的晚霞映照下閃閃生輝。即使是步道上男子們延伸的倒影,似乎也能讓人感受到藝術的氣息。
 而待在這一片熱鬧身後的墮瓏、益發感到自身與此處的違和感,不禁苦笑出聲。
 察覺輕微笑聲的神武,視線又一次射向墮瓏這邊。

 

……何がおかしいんだよ?」
「いや……俺もおまえも、ここには場違いだなと思っただけだ」
「来たくて来てるわけじゃねェ」
 シェンはデミタスカップの縁を指ではじき、憤然と吐き捨てた。
──で、こいつはどういう趣向なんだ?」
「何がだ?」
「おい、俺たちはわざわざ呼び出されてこんなトコまで来てるんだぜ?」
「そうだな」
「こっちはふたり、向こうはひとり、だったら向こうが上海まで来るのがスジだろうが。……それをどうして俺たちがフランスくんだりまで来なきゃならねェんだよ?」
「呼ばれたからだろう」
 デュオロンはこともなげに答えた。もちろん、シェンがその答えに満足しないことは判っている。
「あのなあ──

……有什麼好笑的?」
「沒有只是想著我跟你、都跟這個地方格格不入罷了。」
「人都來了說那麼多。」
 神武手指彈著咖啡杯的杯緣、憤然地開口道。
──所以、現在是怎樣的一個情形?」
「你指什麼?」
「喂、不是特意把我們叫到這裡來嗎?」
「對啊。」
「我們有兩個人、她只有一個人、既然這樣她過來上海才合理吧。──為什麼結果反而是我們大老遠地跑來法國啊?」
「因為是我們被叫過來的關係囉。」
 墮瓏若無其事地答道。想當然爾、神武對這個答覆並不滿意。
「我說啊──

 

……来たようだ」
 デュオロンのひと言に、シェンは不機嫌そうに背後を振り返りった。
「お待たせして申し訳ありません」
 やってきたエリザベートは、慇懃にふたりに頭を下げたが、遅参の理由を口にすることはなかった。
 椅子をがたんと乱暴に鳴らして立ち上がったシェンは、喪服姿で現れたエリザベートを上から下まで見渡し、大仰に肩をすくめた。
「やけに遅いお出ましだな。おまけにずいぶんとおめかししてるじゃねぇか。──パーティーの帰りか?」
 皮肉というには少しばかり毒の効きすぎたシェンの言葉を黙殺し、エリザベートはクラッチバッグから白い封筒を取り出した。
──招待状は?」
「無論」
「あるぜ」

……看來人到了。」

聽到墮瓏的話、神武不高興地回頭向後望。
「很抱歉讓你們久等了。」
 終於現身的伊莉莎白、向兩人有禮貌地低下了頭,不過並沒有說明遲到的理由。
 粗暴地從椅子上跳起來的神武站直身子,對穿著喪服現身的伊莉莎白從上到下打量一番,大大地聳了聳肩。
「遲得我都快受不了才現身啊。而且這不是還精心打扮了一番吶。──難道剛從宴會回來嗎?」
 無視神武帶點惡毒又有效的挖苦,伊莉莎白從提包中取出白色的信封。
──邀請函嗎?」
「當然。」
「已經有啦。」

 

「なら問題はありません。──大会の初戦当日、試合開始1時間前に会場で会いましょう」
「はァ!?
 淡としたエリザベートの言葉に、シェンが眉を吊り上げた。
──てめェなァ、俺たちはてめェが来いっていうからわざわざ地球を半周してきたんだぜ? それを何だ、人をさんざん待たせておいて、それでオシマイかよ!? ンなハナシなら電話1本ですむだろうが!」
「よせ、シェン」
 エリザベートに食ってかかるシェンをなだめ、デュオロンは立ち上がった。
──どのみち俺たちの初戦の会場はこのフランスだ。渡欧が少しばかり早まったと思えば腹も立つまい?」

「那樣的話就沒事了。──大會的初戰當日,比賽開始前一小時再見吧。」
「哈!?」
 聽到伊莉莎白淡淡地說道,神武眉毛揚了起來。
──混帳,我們可是聽妳的話特地繞了半個地球過來的耶?這算什麼,讓人等上個老半天、然後這樣就完事了!?只是這樣的話不會打一通電話過來就行啦!」
「夠了、神武。」
 勸住不斷用言語頂撞伊莉莎白的神武,墮瓏站起身來。
──總之我們的初戰會場是在法國。想成早些過來歐洲的話就沒什麼好生氣了吧?」

 

「だからパリ観光でも楽しんでろってか!? おまえだって、こんな街ガラじゃねェっていったばかりだろうがよ、ついさっき?」
「観光が嫌なら蟹でも食いにいったらどうだ?」
「おまえな──
「冗談だ」
 ふたりのそのやり取りの間に、エリザベートはすでにその場を離れていた。遠ざかるエリザベートの背中が、いつもの気丈な彼女らしくもなく、やけに小さく見える。
 同じくエリザベートを見送っていたシェンが、小さく鼻を鳴らして呟いた。
……あのお嬢様、アッシュとはどういう関係だ?」

「所以現在是變成高高興興地來巴黎觀光了嗎!? 你不也是,剛剛對我說覺得和這街道格格不入的嗎,才沒一會兒的事耶?」
「若討厭觀光的話改去吃吃螃蟹如何?」
「你這個人啊──
「開玩笑罷了。」
 在兩人言語來往之間,伊莉莎白已經從那裡離開了。由遠處看去,沒有了以往的果敢剛毅,伊莉莎白的背影顯得好渺小。
 同時目送伊莉莎白離開的神武,從鼻子輕哼了一聲。
……那個大小姐,跟Ash之間是什麼關係?」

 

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「詳しくは俺も知らん。どうやら親戚か何からしいが……ただ、もっと濃い何かがあるのかもしれん」
「そういうトコを全部伏せた上で手を貸せってのは、ちょいとムシのいいハナシじゃねェか、おい?」
「不満があるなら別のメンバーを捜すか?」
 デュオロンは静かにシェンを見やった。
……今からおまえを受け入れてくれそうな知人がいるといいが」
「確かに俺ァ、味方より敵が多いけどよ」

「詳細情形我也不清楚。總之是親戚或類似那之類的關係吧……不過,或許有著更深一層關係。」
「連狀況都搞不清楚就要出手幫忙,可不是會被別人在背後說三道四的嗎,喂?」
「真那麼不滿的話要不改找其他隊友?」
「……現在你有想到什麼合適的人選嗎?」
「我的話、敵人倒是比朋友來得多啊。」

 

 みずからを揶揄するかのように、シェンは唇を吊り上げて笑った。
……どうせならアッシュの野郎に奢らせてェな」
「何の話だ?」
「蟹だよ。──今度の大会が終わったら、3人で食いにいこうぜ」
キング・オブ・ファイターズ”──世界各地を転戦する一大格闘大会は夏のさなかに始まる。その結果が出る頃には、すでに世間は秋を迎えているだろう。上海蟹のシーズンには、それでもまだ少し早いかもしれないが、気の早いシェンにはそれでちょうどいいくらいなのかもしれない。
 シェンは気安げにデュオロンの肩に手を回した。
──んじゃとりあえず、どっかで1杯やろうぜ」
「あてがあるのか?」
「あるわけねえだろ」
「だと思った」

像是在揶揄自己似的,神武咧嘴笑了。
……不管怎樣,得要叫Ash那傢夥請客吶。」
「你指的是?」
「螃蟹啊。──這次大會結束後,三個人一起去吃吧。」
"The
KingOfFighters"──轉戰於世界各地的大型格鬥大賽是在夏天的最高潮開始。當比賽結果出爐時,也已經是秋風送爽的時節了。雖然離上海蟹的產季還略嫌過早,不過對於急性子的神武來說或許正是時候吧。
 神武親暱地一手環住墮瓏的肩膀。
──反正首先啊,先找個地方去喝一杯吧。」
「知道哪裡有好店嗎?」
「怎麼可能會知道咧。
「我想也是。」

 

 デュオロンは頭の中にパリの地図を思い描き、ここから一番近いメトロへの道を歩き出した。たとえ不慣れな土地であろうと、その地図を完璧に記憶して行動するのは、暗殺者として生まれ育ってきたデュオロンの生来の癖のようなものといえる。
 冷ややかな影が落ちる地下への階段を下りながら、シェンはデュオロンに尋ねた。
「どこに行く気だよ?」
「13区だ」
 ベトナムや旧インドシナといった東南アジア植民地の宗主国だったこともあってか、フランスはヨーロッパ最大の華人在住国であり、パリの13区には世界屈指の巨大なチャイナタウンが存在する。そこに行けば、ふたりの口に合う酒も料理も選び放題だろう。何より、空気が落ち着ける。

墮瓏在腦海中描繪出巴黎的地圖,向著離這裡最近的地鐵的道路走去。像這樣在人生地不熟的異地,將地圖完整地記下來後行動,可說是被當作暗殺者教育長大的墮瓏猶如與生俱來般的習慣。
 冰冷的影子投射到通往地下的階梯,神武向墮瓏尋問道。
「打算去哪裡啊?」
13區。」
 做為曾是越南和舊印度支那等東南亞殖民地的宗主國,法國是歐洲最大的華人所在國,而巴黎的13區也有著世界上屈指可數的巨大唐人街。去那兒的話、想找到合乎兩人口味的酒與料理都不成問題吧。一時間、周圍的空氣靜了下來。

 

 ふと、シェンが踊り場で足を止め、地上を振り返った。
……どうした?」
「いや」
 大袈裟にかぶりを振り、シェンは皮肉をたたえた笑みを浮かべた。
──戦う理由なんてのは、人それぞれだよな」
「いまさらなことをいう」
「ああ、いまさらだ。……他人の都合なんざ知ったこっちゃねえ」
……行くぞ」
 シェンとともに、デュオロンは地下の闇の中へと姿を沈めた。
 花の都を照らす陽射しのあたたかさより、こごる闇の冷ややかさのほうが、自分たちには居心地がいいように思われた。

突然、神武在樓梯平臺止住了腳步、回顧地面。
……怎麼了?」
「沒什麼。」
 誇張地揮舞拳頭、神武臉上露出了一副嘲諷的微笑。
──戰鬥的理由啊、每個人都各自不同呢。」
「事到如今你在說些什麼。」
「是啊、事已至此。……其他人的情形也沒必要知道了。」
……走吧。」
 神武復又與墮瓏一同,身姿沒入通往地下的黑暗當中。
 相比起被陽光照耀著的花都溫暖,兩人認為令人為之凝結的黑暗冰冷,才是更適合自身的棲身之處吧。

 

◆◇◆◇◆

 

 日没の前後、風が少しだけ強くなった。
 少し前まで、その白い壁面を夕陽の茜色に染めていたサクレ・クール寺院も、今ではほの白い照明に照らし出されている。観光客の姿も、昼間よりは少ないものの、まだ完全にはなくなっていない。
「あの子の気配がします」
 かたわらにひかえる老執事に、エリザベートはいった。
「もうここにはいない。……でも、あの子は確かにここにいた」
「お嬢様」
「心配しないで、爺」

日落時分、吹拂的晚風稍稍轉強了。

稍早之前,被夕陽的茜色染紅的聖心堂如今燈火通明。觀光客的身影、雖然比白天時來得少了許多,不過仍未完全散去。
「你在擔心那個孩子的事。」
 在一旁等待的老執事,向伊莉莎白說道。
「已經不在這裡了。……不過,那個孩子確實曾經來過。
「大小姐。」
「不要擔心、爺爺。」

 

 不安げな老執事に小さく微笑みかけたエリザベートは、ベールつきの黒い帽子を脱いだ。
「わたしは弱気になどなっていません。きょうのあれは……ただ、覚悟を決めていただけです」
「お覚悟を……?」
「あの子があくまでおのれの使命を忘れたというのなら──その時は、そういう覚悟が必要になるということです」
「お嬢様、それはあまりにも……!」
「大丈夫です」
 エリザベートが握り締めた拳から、白い光が針のように細くあふれ出す。夕闇を押しのけて広がるエリザベートの内なる光が、彼女自身の顔をほのかに照らし出した。
「わたしの心に光あるかぎり、かならず……!」

伊莉莎白向不安的老執事露出微笑,將連著面紗的黑色帽子摘了下來。
「我沒有那麼脆弱。今天的那件事……只是,為了做好覺悟而已。」
「覺悟……?」
「如果那個孩子徹底忘記了自己的使命的話──到那個時候,那種程度的覺悟是必要的。」
「大小姐,這樣說實在是……!」
「沒關係的。」
 伊莉莎白握緊了拳頭,白色的光芒如針般地從指縫間透了出來。推開暮色從伊莉莎白體內所散發出來的光亮,隱約地照亮了她的容顏。
「只要我的心中仍然有光,絕對會……!」

 


─ 
END 
 
 

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